末っ子の集中力

末っ子はどうも手もとが甘いというのか、何かというとよくこぼす。コップを倒すとか、お椀をひっくりがえしてみそ汁をこぼすなどというのは日常茶飯事だ。
食事の最中ならまだわかるのだが、普通に家の中を歩いているときでも例えば、うがいのための水をいれたコップを手にしているのにポケッとしていて床に散乱させるとか、テーブルの上にあったジュースを肘だか手だかで触って落として散乱させるとか、主導の鉛筆削りの削りかすを捨てようとしてゴミ箱まで行こうとして途中で力が抜けたのかすり落として、あのオカカみたいなクズをまき散らして私に怒鳴られたりしている。

本気で「この子は握力が先天的に弱いのではなかろうか」と思ったほどである。とはいえ見ていると、ゲームのコントローラーの握り方といったら一度も落としたことがないわけだから、要するにこれは「集中力」の問題なのかもしれない。

あるいはまた、「気が散る」ということでもある。
朝、歯磨きをさせていると歯ブラシを手にしたまま、ポカ~ンと鏡を見つめていたりするので「どうしたの」と声をかけるとハッとしたようにまたゴシゴシする。ちょっと目を離すと手もとがゆるんで歯ブラシがだらんと下がって洗面台に落ちたりもする。
歯磨きが嫌いということもあるのだろうが、歯磨きをしながらまったく別のことを考えていて、そちらに意識が向かってしまうと別のことができないらしい。
気が散る、と同時に「他のことを考えはじめると意識が飛ぶ」といった部分もあるようだ。

といって手先が鈍いというわけでもなさそうで、器用は器用だ。工作なんかでも小学校1年生のわりには細かな作業をカッターナイフやはさみを使って器用にやってみせる。鉛筆の削り方を教えてみたら、昔懐かしボンナイフ(鉛筆削り用の小さなナイフ)を上手に使ってきれいに削ってみせた。

「今やっていることをちゃんと意識しないとダメだよ。危ないよ」と夫が教え込んでいる。道路なんかでポケッと別のことを考えて信号の途中なんかで立ち止まられたら危ないったらありゃしないからだ。
「うん、わかった」
末っ子は言った。言う側から、レゴブロックでタワーを造ることに夢中になっていて、おやつに出したミカンを途中で忘れたのか肘で床につきおとしてしまった。

やれやれ、である。

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